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つよきす。第一部。 途中。


最近は男が弱くなった、と言われる。

俺は別に、そうは思っていなかった。

思っていなかったんだけど……。



地面にヘタりこんだ俺を見下す瞳。

その眼差しは研ぎ澄まされた刃のように。


俺を叩き伏せた張本人である彼女はネクタイの3本ラインから見るに、年上の3年生。

春の陽光をその背に受けながら

上級生「だらしがないぞ、お前」

上級生「根性無しが」

なんて澄んだ声で叱ってきやがった。

彼女が上、俺は下。


それは俺達の関係そのままだった。

凛とした表情、堂々とした立ち姿。

短く揃えた髪が風に揺れている。

……俺は“この事件”をきっかけに痛感したね。

最近は男が弱くなったっていうよりさ。

女の子が強くなったんじゃない?


−−2日前−−



俺には、朝起こしてくれる幼馴染がいる。

だから恵まれた立場だと思う。

そういつは飯も作ってくれたりする、近所に住むおせっかい焼きなんだ。



青年「ほら、起きろ坊主。朝だぞ」

……ま、その幼馴染っていうのは。

レオ「ん……く、おはようスバル」

男なんだけどね、悲しい事に。

スバル「おはようさん」

気だるい体を起こして、ベッドから立ち上がる。

スバル「っておい、起きてっかテメェ?」

レオ「んー。大丈夫です!対馬レオ(つしま れお)しっかり起床しました」

スバル「どうにも怪しいねぇ。二度寝とかすんなよ」

レオ「ギク」

スバル「したら襲っちまうぞ」

レオ「冗談でもそういうのはやめてくれ……」

跳ね起きる。

スバル「んじゃ学校で。先行ってるぜ」

俺は私立の学校に通い、今2年生。

昔は喧嘩とかしてた時もあったが、今は大人しくフツーの学校生活を楽しんでる。

勉強とかだってそこそこややってるし。

……彼女はいないけどさ。



1階に降りてテレビをつける。



アナウンサー「なおもニューヨーク市民は癒えぬ傷跡とともにテロの不安に怯えています」

西暦2005年、5月23日。

世界情勢は、相変わらず暗い話題が多いけど。

アナウンサー「次のニュースです。東京都では、ヒートアイランド現象防止として屋上に樹木を植える建造物が……」

日本は平和そのものだった。

でも俺は中間試験の結果が返ってくるんだよな。

テーブルの上には、スバルが作ってくれた朝飯が置いてある。

あいつ朝はいいって言ってるのにお節介ば奴だな。





外に出る。

隣の家の蟹沢(かにさわ)家へ。

玄関前を掃除している蟹沢家の奥さんに挨拶。

レオ「お姉さん(←社交辞令)お邪魔します」

マダム「レオちゃんいつもすまないねぇ。あんな出涸らしの為にいつもいつも」

レオ「俺が見捨てると、あいつの人生終わりそうで」

マダム「良かったら嫁にもらってくれない、アレ?」

レオ「耳かきにハマりすぎて、外耳炎になったようなアホな娘はちょっと勘弁願いたいです」

マダム「そうよねぇ。私がオトコでも絶対イヤだもん」


2階へ上がる。



レオ「おい、朝だぞ蟹沢きぬ」

きぬ「Zzz」

今日もまた凄い格好で寝てるな。

レオ「おい起きろ出涸らし。朝だぞ」

きぬ「Zzz」

レオ「馬鹿そうな顔で寝てやがる……」

この家は2人子供がいるんだけど、1人は優秀な兄で大学院で勉強中。

きぬ「……やっぱ……ボクって可愛いよねー」

んで、もう1人が寝言言ってるこのバカ。

出来が悪いので両親から出涸らしと言われすでにあきらめモードに入られてる哀れなコだ。

まぁ兄の出来が良い分、あんたはもう好きなように生きろ言われてんだからある意味羨ましいかも。

レオ「さて、普通にやっても起きないからどうやって起こすかだが……」

今日はどうしようかなぁ。

んー。

レオ「よっと」

カニの口と鼻をふさぐ。

きぬ「……」

レオ「さぁ目覚めろ」

きぬ「……」

こ、こいつ意地でも目覚めないつもりか。

慌てて手を離す。

あっぶね、危うく××してしまう所だった。(伏字がちょっと同人的な手法)

お、カニがもぞもぞと動き出した。



レオ「てこずらせやがって。起きろコラ」

寝ぼけているので、この間は好き放題できるのだ。

きぬ「んん?ん……ん……」

きぬ「んんー。ふぁーーーあ。うー、おはよ」

ここまでしてようやく目を覚ますのだ。

レオ「おはようさん」

レオ「じゃ、また20分後に下でな。二度寝したら置いてくからな」

きぬ「ふあーあー。分かってるって〜」



カニを起こしてから、いったん家に帰り朝飯。



スバルが作ってくれたメシと(パンとか目玉焼き)ヨーグルトで栄養補給。

アナウンサー「野生のクマが餌につられて民家に迷い込みましたが無事に山へ帰されました」

ちょっと和んだ。




5月とはいえ、朝から結構暑い。
  トラックバック:(0)  コメント:(8)  2008年7月3日 16:35